STORY

プロローグ
フェアトレードへの想い

Autentico店長の私は42歳になった年に、思い切って仕事を辞めて、オーストラリアのシドニーに行きました。
フルタイムで学生をするためです。
約20年ぶりの学生で、一体どうなることかと不安も少しありましたが、もともと考える前に行動するタイプ・・・不安よりも思いっきり学びたいことに集中できるという高揚感が勝っていました。

でも、実際に学生生活を始めてみると、日本の大学とは全く違って、毎日の予習や課題に追われ、自主的にやりたいことに取る組める時間なんてほとんど取れませんでしたが・・・そもそも学びたかったから大学に行ったので、とても苦しかったですが、充実した時間でした。


私が主に学んだことは、「社会企業」について・・・株式会社は、株主のために利益を上げるのが目的、「社会企業」は、社会のために役に立つことを目的としながら、利益も上げ、持続可能な社会に向けて企業活動を実行していく企業のことです。

2年間みっちり学び(いや学ばされ)、修士論文はもちろんフェアトレードについて書きました。
その論文を準備する中で出会ったのが、現在アルパカの織物を作ってくれているフェアトレード生産者グループをまとめるPeru Land(当時は、Aptech Peru)の代表のアガピとでした。

200以上のフェアトレード生産者グループ、アンケートをするためにメールを送ったことから彼との接点がうまれたのですが、その時の、なんだろう・・言葉で表現するのはとても難しいのですが、『この人は信頼できる、そしてきっと私も信頼してもらえている』と瞬間的に感じました。お互いを理解するためも共通の言葉を持たなかったのですが・・・その時の「あっ!」と言う自分自身の感覚を信じて、私自身がやりたいと思っていることをアガピトに知らせました。

オーストラリアのシドニーで学生をしていた時に出会ったペルーの工芸品の中にアルパカがあり、ウールのようなチクチクした感じがなく、とても滑らかな肌触り、軽いのにふわふわした感じがなく、巻いた時、羽織った時に、しっとりと体になじむ心地よさに一目ぼれをした私は、アガピトに
『アルパカの織物を作ってほしい』と依頼をしました。

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第1話
えっ、これがアルパカ?

前回も書いたのですが、アガピトと私は共通に理解できる言葉がなかったので、連絡はメールのみ。
時々どうしても口頭で伝えたいことがあって電話をしても、私はスペイン語がわからない、彼は英語がわからない・・・ので

私:Hello
アガピト:Hola
私:・・・・
アガピト:・・・

となってしまい、すぐに「ガチャン」
メールは英語で書くのですが、そのメールをアガピトは、彼の娘のマリアに送り、マリアが内容をスペイン語に訳し、アガピトに伝え、その答えをアガピトがスペイン語でマリアに伝え、マリアが英語に訳してアガピトにメールで送り、それをアガピトが私にメールをするという、とてもとてもまどろっこしいやり取りをしていました。

1度のコミュニケーションに2,3週間かかってしまうような状態でした。
それでもやっとお願いした商品サンプルがとどいたのですが・・・
私が待ち焦がれていたものとは、まったく違ったものでした!
なんだか魚を捕るための網のようで、ゴワゴワしていて・・・これは一体どうして!?!

これが最初のころの試作品・・・商品化への道のりは険しい・・・

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第2話
ディオニシオのがんばり

1度の試作で「はい、OK!」なんて、うまくいくことなんてないんだから・・・と自分に言い聞かせ、アガピトに何がどうしてこうなった!?!?について質問を送りました。
このやり取りが、またまた大変・・・

一般的にフェアトレード生産者と呼ばれる人たちは、小さな家内工業的な工房などの職人たちがほとんどなのですが、私のようなフェアトレード商品を購入したい、商品を作ってほしいという人との仲介をしてくれるフェアトレードNPOのような組織に登録をしています。Peru LandはそのフェアトレードNPOで、アガピトはそこの代表です。

アガピトは、Peru Landに登録しているディオニシオと言うアルパカの織物を作る職人に私からの依頼を伝え、サンプルを織ってもらいました。
私からの質問に対し、ディオニシオからの回答は、
『アルパカ100%の織物はこれまで織ったことがないので、今回送ったのは、アメリカに輸出しているアクリル混のアルパカのマフラーです。アメリカへ輸出しているのだから、日本もこれでいいと思って・・・』とのこと。
それで、私が想像をしていた肌触りも、巻いた時の風合いも感じられなかったんだとわかりました。

それから、私は、アガピトを通じてディオニシオに、
『時間がかかってもいいし、代金は払うので、100%アルパカの糸で織ってほしい』とお願いしました。
そして数か月が経過して、ペルーから荷物が届きました。アルパカ100%で織ったと思われるショールが同封されていました。
『う~~~ん、違う・・・こんなメッシュみたいな感じじゃない・・・」

こんなことを何度繰り返したんでしょう・・・お店を開店した年、2010年から作り始めて、もう3度目の冬が・・・と言う2013年の秋に届いたアルパカのショールは、まさに私がオーストラリアで手にしたアルパカと同じ、いやいやそれ以上の肌触りのお品でした。


1つの商品に3年もかかってしまって・・・職人のディオニシオは私のダメ出しに1度も仕事を投げ出すことなく、辛抱強く付き合ってくれました。そして、その努力が実って、いよいよお客様にお品物を手にしていただけるときが来たんです!

>>>次:第3話 「私が行くんじゃなくって、日本に来て!」へ

第3話
私が行くんじゃなくって、日本に来て!

Peru Landとのコミュニケーションが格段にスムースになったのは、アガピトの娘マリアがコーディネーターとしてPeru Landで仕事するようになってからです。
彼女は、英語ができ、スペイン語ができない私にとっては、まさに救世主!若くて、チャーミングで、とても勉強熱心なマリアの存在が、Autenticoの商品作りには欠かせません。

マリアがPeru Landで仕事し始めたのは、アルパカのショールが販売できるようになったTeebomの実店舗開店から4年たった頃でした。アルパカの糸の色見本を送ってくれたり、新たに始めようと持っていたアルパカの編み物についても彼女からの提案でした。サンプル品やWebの商品カタログなどを続々と送ってくれ、私に「どう、この商品?」「日本人は好きかしら??」などと聞いてくれるのですが、私は返事に窮するばかり・・・

マリアはペルー人で、インディヘナ(先住民)です。肌の色も私たち日本人に非常に近く、髪はストレートの黒髪、背丈も体つきも日本人ぽいです。きっと祖先はいっしょなのでしょう~?!?!
でも、「ラテン系」です。好む色、好むデザインは、まったくと言っていいほど違います。パッションピンクや鮮やかな黄色、紫みたいな色が好き!服装はタイトな体の線が出るものが好み!!ですから、彼女がデザインしたアルパカのセーターやカーディガンなどは、ちょっと私には手が出ません。

それともっと大切なこと!アルパカの織物の品質管理、これが不足していました。
織物自体は素晴らしい出来栄えなのですが、フリンジの長さが区々だったり、歪んでいたり、また汚れがついてしまっているものなど、ちょっと気を遣えば・・・ペルーから届いたショールを1枚1枚確認すると、そんな残念な商品が何枚もありました。これでは、せっかくの織物が台無し・・・

そこで、私は思い切って、マリアに、「日本に来ない?」と言ってみました。
ただ、私には彼女の旅費をすべて負担できる状態にはなかったので、それも正直に話すと、なんと数か月後に、インドのニューデリーで開催されるフェアトレードの世界大会に参加するということがわかりました。『じゃあ、もう日本に来るしかないね!インドからのフライトと、静岡滞在の費用は私が負担するから!』と。

2017年の12月にマリアは本当に静岡にやってきました!
マリアを囲んでお店にお客様とお話会をしたり、いっしょにお蕎麦を食べに行ったり、自転車に乗ってスーパーに行って買い物したり、デパートでウインドウショッピングをしたり・・・短い滞在だったのですが、いろいろ大変して、たくさん話をしました。

私は、日本人、日本のこと、あらゆることをマリアに見て、聞いて、体験して、なぜ、私が商品について、あれやこれやと注文を付けるのか、その理由をそれらの体験から理解してほしかったんです。

さすがスマートなマリア、
「日本人は、何かにつけて、きっちりとしていて、とても理論的。商品もそのようにしないと日本では受け入れられないのね。帰ったら、織り師のディオニシオや編み手の女性たちに大変したこと伝えます」

2018年の秋に届いたアルパカのアイテムは、これまで以上に素晴らしいお品になっていました。

>>>次:第4話 「Autenticoには欠かせないアイテムに!」へ

第4話
Autenticoには欠かせないアイテムに!

現在は、ベビーアルパカの大判ショール、アルパカのバイカラーショール、アルパカのへ新ボーンマフラーの3種の織物と、手編みのベビーアルパカの2wayネックウォーマーの4種のアルパカ製品をAutenticoでは展開しています。

お客様からの評判も上々で、1枚購入した方が、とってもよかったからともう1枚、プレゼントにとさらに・・・とリピートしてくださっています。皆さんから、アルパカの品質の良さと、丁寧な仕事をほめていただいています。

昔アルパカのセーターを持っていたんだけど、なんだかゴワゴワして重たかったイメージがあるけど、このショールはとってもなめらかで軽くて、アルパカの印象がまるで変ってしまった・・・とおっしゃってくださるお客様もいらっしゃいます。

特にベビーアルパカは毛羽立ちがほとんどなく、チクチクしにくいんです。
軽いけどふんわりではなく、しっとりと馴染む感じ・・・

それともう1つ蒸れにくいんです。これはアルパカが寒暖差の大きいアンデスに暮らすことから、吸湿性と放熱性の両方を備えているからなんです。

いいこと尽くめでしょ!

Autenticoの最初のオリジナル商品は、Autenticoにとっても、お客様にとっても欠かせないアイテムに着実に育ってくれています。

お客様にも支えていただき、この仕事を続けられることに感謝です。

これからの私たちの成長を期待していてくださいね。

>>>次:エピローグ:信頼できるビジネスパートナー

エピローグ
信頼できるビジネスパートナー

マリアがチームに入ってから、いろいろ可能性が増えてきました。
彼女自身がとても仕事熱心で、私のいろんな質問やお願い事に対して、仮にそれが仕事に結びつかないことでも、必ず引き受けてくれるんです。

時には、私がフェアトレードの後援会の依頼を受けて、出張授業などをするときに、Skypeを通してゲストスピーカーとして参加してくれます。日本とペルーは14時間もの時差があるので、時には早朝5時に!なんてこともあるのですが、必ず協力をしてくれます。

マリアはこれまでに2度静岡を訪問してくれます。私の狭いお店の2階の部屋に泊まって、いっしょにご飯を食べ、朝のウオーキングをし、自転車で買い物に行き・・・一緒の時間を過ごすことによって、私のこと、私のお店のこと、お店のお客様の事、静岡のこと、日本のことをたくさん吸収してくれました。

私のお願いするのは手間のかかる割には、発注量は少ないので、面白みに欠ける仕事ではないかと感じているのですが、いつもとってもきっちり対応してくれます。
とても頼りになるビジネスパートナーです。

彼女が大手企業での安定した仕事を辞めて、お父さん、お母さんの仕事を手伝いたいとPeru Landで仕事を始めてくれたおかげで、私はアルパカの織物という素晴らしい商品に出会えただけでなく、マリアという素晴らしいビジネスパートナーを得られたことにとても感謝しています。
>>>次:番外編 エピソード1:ところ変われば?!

番外編 エピソード1
ところ変われば?!

最初に織ってもらったものを測ったら、長さが160センチほどしかなく、
「ちょっと短いので、20センチほど足して180センチにしてもらえませんか?」と私が お願いすると、
『これは、アメリカのスタンダードだけど・・・ほんとに長くしていい?』との返信が
私が『ちょっと160センチだと足らないので…』
『えっ??でも、日本人はアメリカ人より小柄でしょ?なんで、160センチで足らないの??』とのこと
私も、え~~そうなんだ!?!となり、
『まあ、日本人は小柄だけど、きっとアメリカの人と巻き方が違うんだよ。日本のスタンダートは180センチにしてね』と・・・
ところ変われば、マフラーの長さも変わるんですね~

>>>次:番外編 エピソード2:お客様の力を借りて!

番外編 エピソード2
お客様の力を借りて!

手織りのアルパカのシュールは、足掛け4年目から販売を始めたのですが、その素材のよさ、品質の高さから、お客様にとても喜んでいただいています。

実店舗でお求めくださったお客様に、ご自身でも織物をされる方がいらっしゃって、ある時、ご自分がお求めになったショールを持参され、
『織終わりからフリンジを作る際に、今はただ、フリンジをねじってあるけど、時間とともに、ねじれが緩んでくるの。すると織終わりの横糸が緩んでくる可能性があるので、フリンジの付け根の部分にノットを作って、しっかり留めてみるといいんじゃないかしら、こんな風にね』と見せてくださいました。

私は、そうですね!こうすると糸が緩んできませんね!さっそくペルーに連絡して、改良してもらうようにします。』
早速、マリアにメールでそのことを伝えると、次のオーダーからは、きれいにフリンジがノットで留められた状態で商品が届きました。

加えて、マリアから
『教えてもらったことを、アメリカに輸出している商品にも同様に対応したところ、バイヤーからとても喜んでもらえて、売り上げも上がりました』とうれしい報告がありました。

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